はじめまして某自治体で働く地方公務員のれぐるーです。
今回はとっても面白いマンガを見つけて、「これは地方公務員、特に市町村職員を目指す人には公務員の仕事の生々しい現場がわかる良書なのでは?」と思ったので、その良さを語ります!
地方公務員を目指している人・地方公務員になる予定の人は一巻だけでもいいから絶対に読んでおくことをオススメします!!
ケースワーカの仕事を描いた「健康で文化的な最低限度の生活」
マンガの名前は「健康で文化的な最低限度の生活」。
生活保護課のケースワーカーを題材にした漫画です。地方公務員を題材にした漫画や本は数あれど、これほど現実を生々しく表現しているマンガはおそらく他にありません。
「自治体職員の仕事ってどんな仕事だろう」って意味でも、これから地方公務員を目指す人や地方公務員への就職が決まっている人は絶対に読んでみてほしい。
なぜケースワーカーのマンガがオススメなのか?
ここで疑問に思う人もいると思います。
役所って税務の仕事もあれば、障害者や高齢者の福祉の仕事、財政や総務、産業振興の仕事もあって多岐に渡っている。それなのになぜケースワーカーを題材としたマンガがオススメなのか?
と。
実は、オススメするにはするなりのちゃんとそれなりの理由があるんです。
全ての福祉は生活保護課に通ず
「全ての道はローマに通ず」という言葉がありますが、生活保護課のケースワーカって福祉分野でいうローマそのものなんですよ。
障害者福祉、高齢者福祉、児童福祉どの福祉分野に配属になっても、トラブルや揉め事が起こると、高い確率で生活保護世帯だったりします。福祉の分野に携わると、どんな仕事であれ否が応でも生活保護受給者と向き合う場面が結構あるんですよね。
れぐるーは児童福祉の分野で長く働いてましたが、例えば児童虐待とかDVの話があれば、すぐさま担当地区のケースワーカーに生活保護受給者か確認していました。児童手当などの手当の受給者が刑務所に入った時なんかも、その人が生活保護受給者か確認し、必要であればケースワーカーと連携しながら必要な手続を進めたりしてました。
なので、ケースワーカの仕事を知れば役所の福祉仕事の全容を自然と知ることができるようになります。
さらに、役所の仕事の多くは福祉に関連する仕事です。つまり、福祉の仕事を知るということは役所全体の仕事を知ることにも自然と繋がってくるんです。
新人は生活保護課に配属される可能性が高い
ケースワーカーは福祉の仕事を広く知れるのため、新規採用された新人の多くは生活保護課に配属されることも多々あります。(れぐるーの自治体がそう。)
新人の多くが生活保護課に配属されるもう1つの理由は、「みんなケースワーカーをやりたがらないから」です。生活保護課のケースワーカーは、残業などの拘束時間は少なめですが、いかんせん客層がヤバいです。どれだけヤバいかって話は、ぜひマンガを読んでみてくださいwマンガではその辺の話が如実に描かれています。
というわけで、残業少ない部署なんですけど、とにかく人気ないんですよケースワーカーって。だからそこに新人が送り込まれるわけです。
以上が、地方公務員を目指している人・地方公務員になる予定の人に「健康で文化的な最低限度の生活」を絶対オススメしたい理由です。
就職する前に、ケースワーカーの仕事を見ておくのはとてもためになると思うし、それがマンガを読みながら楽しく知れるなら願ったり叶ったりです。
ケースワーカーをありのままに描くだけで漫画になる
もう1つ「健康で文化的な最低限度の生活」をオススメする理由は控えめに言って面白いんですよ。
ケースワーカーの仕事って、何も脚色しなくてもそれだけで立派な漫画の題材になるんですよね。なぜかというと、全員ってわけじゃないですが、生活保護受給者には波乱万丈・壮絶な人生を歩んできている人が多いから。そんなヤバい人達と日常的に関わり合っているケースワーカーですから、もうその仕事の有様をそのまま漫画にするだけでも立派な漫画になると思います。
孤独死した人の事後処理、裁判所・警察にお世話になったり、突然失踪するぐらいはよくある話。この辺の個々のケースについても「健康で文化的な最低限度の生活」でかなりリアルに描かれているのでマンガを読んでみるととても参考になるし、面白いと思います。
ちなみに、れぐるー自身はケースワーカーを経験したことはありません。しかし、ケースワーカーの話す仕事話はちょっとレベルが違うぐらいぶっ飛んでて面白いです。ただし、自分でなりたいとは思いません。マンガだったり、他人の話で聞くのは面白いですけど、当事者になるのは大変です。ケースワーカーってほんと凄いですよ。自分には無理!笑
福祉の闇を垣間見る
あと、ケースワーカーやってると福祉の闇みたいなものも垣間見ることができます。
ケースワーカーは一人で多くの世帯を抱えています。そして、近年では高齢者も増えており孤独死をするケースも増えています。ケースワーカーにとって担当の生活保護者が孤独死することは何を意味すると思いますか?
ケースワーカにとって生活保護受給者が亡くなって担当世帯が減ることは、自分の仕事が減ることを意味します。(もちろん遺骨の管理とかの事後処理はある)何が言いたいかというと、批判を覚悟で言いますが、ケースワーカーの中には生活保護受給者が亡くなって喜ぶ人もいるんです。だって仕事減るんですもん。みんな同じ給料貰うのなら、できる限り楽したいですよね?
さらには、「こんな奴に税金払うぐらいなら、こんな人間早く消えた方がいいのでは?」という葛藤に苛まれることもあるでしょう。ケースワーカーに限らず、福祉分野で直接市民と接すると、多くの人がこんな悩みにぶち当たります。
そして、基本的にこの悩みに対する解決法は2つしかないと思ってます。それは、
・福祉の精神を捨てて、金を貰うために法に基づいて淡々と仕事をこなす。
・真摯に仕事や市民に向き合う。
どっちの方法が正しくてどっちの方法が悪いとかそーゆーのはないと思います。ただ、前者を選んだ人は「担当受給者消えてくれてラッキーw」って思うし、後者の人は、メンタルを病みやすい傾向があります。福祉の仕事って、精神的に中庸を保つのが人によっては実に難しい。
地方公務員を目指す人にオススメな漫画まとめ
とりあえず、騙されたと思って一回マンガを読んでみることを強くオススメします。
最後に一応補足しておきますと、役所の仕事の多くは福祉に関連する仕事ですが、当然、福祉とは全く関係ない仕事もそれなりにあります。一番わかりやすいのは、観光や産業振興の部局でしょう。それに福祉枠を除いて技術系などの専門枠で採用された人はまずケースワーカーになることはないでしょう。そーゆー人にはこのマンガは参考にならないかもしれません。
なので、マンガの話の全てが役所の仕事ってわけじゃないのでそこだけは誤解のないようにしてください。ただ、役所に入ると特に男性の場合は、ほとんどの職員がケースワーカーを経験しますので、就職する前にケースワーカーの仕事を知っておくことは絶対にどこかで役に立つはずです。
ちなみに、すでに公務員の方も読んでみると面白いはず。人によっては「これあるあるやw」とか共感する部分も多いと思う。
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